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2020年、世界が少し小さくなった

  • 2021年3月29日
  • 読了時間: 4分

更新日:2025年11月3日

静まり返る世界の片隅で

2020年3月、世界は一瞬にして姿を変えた。コロナウイルスが人々の営みを覆い尽くしたあの時、私は仕事でパリにいた。街の空気が少しずつ異様なものに変わっていくのを感じ、帰国して二週間後、世界は静まり返った。ロックダウンである。あれから一年が過ぎた。

削ぎ落とすことで見えるもの

“Less is more.” ― 量から質へ。余分なものを削ぎ落とせば、心に余白が生まれる。物質ではなく、精神や経験にこそ幸福は宿る。


私はもともとミニマリズムに傾倒していたこともあり、世界が「小さくなった」と感じるよりもむしろ、自分の生き方を改めて見つめ直す機会を与えられたように思っている。不必要を最小化することで、本当に大切なことを最大化できる。それが、この時代の贈り物だった。

「世界には、清らかな水を飲めぬまま命を落とす人々がいる。 それなのに、自分や身近な者に死が迫ったときだけ騒ぎ立てるのは違う。自分はウイルスも、死も、受け入れる。」

そんな思いに突き動かされ、ウォーターエイドへの寄付を始めた。募金や奉仕は、他人のためにではなく、自分の信念のために行うものだ。感じた瞬間に動く。 心に刺さることは、ためらわず取り入れていく。それが、私の生き方である。

個の時代に生きる

近ごろ、「独立したい」と相談を受けることが増えた。皆、口を揃えて言う。「会社に未来を感じない」と。だが、起業の生存率は五年で四割、十年で一割に満たぬと言われる。私自身も、誇れるほどの成功者ではない。ただ柔軟に変化しながら、何とか五年を越えてきただけだ。そもそも、十年続く会社が一割しかない時代に「未来がない」と嘆くのはおかしい。最初から「一生会社に勤め続ける未来」など、存在していなかったのだ。加速度的に変化するこの時代、商品やサービスの寿命は短い。変化しない企業の命運もまた、短くなるのは当然のことだ。


売上が100億、100年続く企業などは組織力がないとなかなか難しい。組織の力は確かに強い。だが、質を欠けばそれはリスクにもなる。同じ熱量で働く社員ばかりを求めるのは、もはや幻想であろう。全員がモチベーションの鬼のような企業など、見たことがない。

物流やシステムが発達した今、個人でも相応の規模まで事業を拡大できる時代だ。組織が必要な場面では企業と手を組み、個で成し得る部分は自らの生産性を高める。その選択肢の広がりを、私は前向きに受け止めている。

そもそも企業は、そんなに多くの人手を必要としているのだろうか。個々が力を発揮できれば、最小限の人員でも十分に社会は回るのではないか――そんな気がしてならない。


走りながら、生を整える

人生における最大の成功要素は「行動力」である。これは、確信に近い。どんなに理路整然としたビジネス書でも、最後には必ず「行動せよ」と書かれている。かつては「また同じことを言っている」と苦笑したものだが、今ならその意味がよくわかる。

独立してみれば、想定通りに進むことなど一つもない。起業とは、走りながら軌道を修正していく力が問われる営みだ。

東京で「個の生産性」を高めたいなら、私はバイクを勧めたい。車のように駐車場を探す手間もなく、途中で酒を飲む機会があっても一日停めても安価だ。公共交通と徒歩を合わせた移動時間と比べれば、私の場合、ほぼ半分に短縮できる。 (それにしても、大江戸線は深すぎる。)私の人生ではバイクが重要な要素となり過ぎて一生手放せない。バイクは、今や私の生活リズムを整える相棒であり、心のバランスを保つ存在でもある。


1.世の中の気候、温度、匂い、感覚を敏感に感じれる。

2.道を誤れば、次の信号でエンジンを切り、押して戻ればいい。

3.気になる場所があれば、移動の合間に寄って、学びを増やせる。

4.事故を起こせば、相手も自分も傷つく。下手をすれば命を落とす。


――つまり、バイクで行動するという事は危機管理能力と瞬時の判断力を鍛える訓練でもある。人生も、まったく同じだ。


1.世の中の変化に敏感であれ。

2.進む道を誤ったなら、速やかに修正せよ。

3.好奇心を持ち、行動力を鈍らせるな。

4.周囲には優しさを、自らには適度な危機感を。


最初に買ったバイクにもう20年は乗るが多少のポンコツさもまた、愛すべき個性である。世界は小さくなった。だが、「個」として自由に駆け続ける人生は、今なお楽しい。変化の加速度を増す時代には、コンパクトに、しなやかにサバイブする人生も悪くないと思う。

自らの誕生日に、これから始まる“加速”を静かに感じながら――。

 
 
 

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