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欲の消える瞬間に魂は澄む
終わりをデザインする 6月4日、父が亡くなった。その知らせを受けたとき、私は不思議なほど悲しみを感じませんでした。仲が悪かったわけではありません。むしろ晩年には、会う回数は少なかったですが父と理解度が深まり、互いの価値観を語り合えるようになっていました。それでも、心の奥から悲しみが湧き上がることはなかったのです。 私の死生観はこうです。「自分の死も、家族の死も、知人の死も、悲しむべきものではない。」 なぜなら、私は常に『明日、自分が死ぬかもしれない』と思いながら生きているからです。そして、死が訪れるその時が来ても、後悔なく生き切ったならば、死は悲しみではなく、一つの過程であり、次なるステップであると感じています。 「死があるからこそ生が意味を成す」という考えには、私は深く共感しています。死は単なる終わりではなく、むしろ私たちが「今」をどう生きるかを決定づける力を持っているのです。 以前から「死は本当に悲しいことなのか」と疑問を持っていました。日本の文化の中では少数派の考え方だと思いますが、私なりに考え抜いた末に辿り着いた結論です。人は痛みを感じ
A K
読了時間: 8分


“気づかれたい”という名の騒音
スポーツカーは速いけど、承認欲求は追い越せない。 ブランドにとって、分かりやすい“アイコン”を持ち、知名度を得ていることは大きな強みです。そして、そのアイコンに人が「気づく」機会が多いほど、所有者の満足度は高まる。だからこそ、ブランドビジネスに関わる身として、私は意識的に「気づいたときには言葉にして伝える」ようにしています。 街中でエンジンをふかす、車高の低いスポーツカーを見かけることがあります。乗っている本人は「注目を浴びている」と思っているのかもしれませんが、実際のところ周囲の人は「危ないし、騒音やめてほしい」と冷ややかに見ていることが多いでしょう。日本の公道では明らかにオーバースペックで、正直なところ迷惑でしかありません。もし「あげる」と言われても、私は遠慮します(笑)。 以前、友人からこんな話を聞きました。友人の会社の社長が「〇十万もするタイヤなんだけど、サーキットで走るとすぐすり減っちゃうんだよね〜」と自慢げに話していたそうです。ただ、その会社はスタッフの待遇が良いとは言えず、私は思わず「さすがですね!タイヤとスタッフのメンタル、どちら
A K
読了時間: 7分


死ぬこと以外はかすり傷、でも足るは知らず
足るを知る豊かさ ― 仙人と学んだ、生きるということ 最近、「仙人」と呼んでいる友と過ごす時間が増えた。物静かな男だが、私に与える影響は大きい。政治、経済、文化、歴史、哲学――どんな話題を振っても即答する。不得意なジャンルなどあるのかと思うほど、知識の深さが半端ない。 彼が次の拠点を見つけるまで、しばらく我が家に滞在していたことがある。朝起きてすぐ、私が質問を投げかけると、そこから2時間ぶっ通しで語り合うことも珍しくなかった。朝8時から全力で持論を展開する私に、真剣に付き合ってくれる仙人。「うーん、今日はやめないか?」と一度も言わない忍耐強さには、心底感心している。くどい私の話にも全くひるまない彼の姿勢は、まさに“大きな器”そのものだ。しかも、彼の語りは本やネットから得た知識ではなく、自ら現地を旅して見聞きした体験に基づいているから面白く、まったく飽きない。 「足るを知る」という豊かさ そんな仙人から聞いた話の中で、特に印象に残っているのが「足るを知る」という言葉だ。 彼がアジアを旅したとき、発展途上の地域ほど幸福度が低いことを感じたという。だが
A K
読了時間: 6分


中途半端なハグには、バックドロップを
【バックドロップをかます時】 プロレスには詳しくないのですが、「バックドロップ」とは腰を掴み、自分の背面に相手を頭から叩きつける豪快な技。最近、私の中でこの技がひとつの“比喩”になっています。 「何をやるか」より「誰とやるか」。その大切さを痛感するようになりました。だから私は、どんなに仲のいい友人の提案でも、中途半端なハグをされたら——後ろに回って“バックドロップ”をかまします(笑)。 友達とは仕事しない方がいいという方もいると思いますが、信用がある友人には中途半端なことはできなく、”ごまかしが効かないので質も高い仕事ができる”と信じています。共に汗かき、仕事しハイタッチしたいのであり、かすめ取るように上手くやってやろうとか、二次情報を集めたスキームを話されても、、、すみません、そういうの要りません。そんなハグのオファーはバックドロップしま、、、した。敵意はないんです。ただ提案が中途半端だったから、「提案がくそ甘いね。そんな一般的な情報を集めても価値はない。それでは取り組めない。」とはっきり言います。 【私流のマーケティング方法】...
A K
読了時間: 4分


秒で動く奴と、考えすぎる俺の幸福論。
― 何をやるかより、誰とやるか。 ― 「豊か」とは、お金持ちな状態のことだろうか。いい車に乗り、美しいパートナーと暮らし、大きな家に住み、高級ブランドを買う生活——それが豊かさなのだろうか。 世代によって価値観は違うが、自分より上の世代の多くは、そうした物質的な豊かさを教育として受けてきたように思う。一方で、下の世代にはそれに縛られない人が増えている。私はちょうど、その中間の世代だ。 最近では「お金は手段であって、ゴールではない」とよく聞く。世界情勢の不安から資産を築きたいという気持ちは理解できるが、最終的には自分の“メンタル”の持ちようがすべてだと思う。 どこに基準があるわけではない。自分が満足できる状態が“豊か”であり、その基準を決めるのは他人ではなく、自分自身の心だ。だからこそ、誰もが豊かになれる。 私にとっての豊かさは、“何をやるかより、誰とやるか”。その人と一緒に過ごす時間、達成感を共有できる瞬間こそが、本当の豊かさだと思う。 最近は、到達点よりも過程の方が楽しいと感じるようになった。どんなことにも価値を見つけ、引き出し、楽しみ尽くす—
A K
読了時間: 4分


メンタルモンスターと凡人の間くらいで生きてます
クレイジージャニーな人生もあり? 人生は楽しんだ方がいい。それも、目一杯に。誰もが予測できない現実の連続。それが人類の歴史だと思います。だからこそ大切なのは、「なぜ生きたいのか」「どう生きたいのか」。けれど現代では、効率や比較の中でこの問いを見失いがちです。 私はこう考えます。 「人生を楽しむためには、まず“どう働くか”を見つめ直すことから始まる。」 【資本主義での働き方の4種類】 “金持ち父さん、貧乏父さん”という有名な本でも紹介されていますが、資本主義社会での働き方は大きく4つに分かれます。 労働者 :時間を報酬に変える 専門家 :成果を報酬に変える 経営者 :人に働いてもらって報酬に変える 投資家 :お金に働かせて報酬を生む この構図の中でよく語られるのが「フロー型よりストック型へ」「経営者や投資家が強い」という考え方です。確かに、資本主義の中では労働者の給料を抑え、利益を出すことが基本構造。私も労働者時代には気づけなかった“不都合な真実”です。 でも、 お金と自由の関係だけで本当の豊かさは測れるのか? そこに疑問を持ったのが、私の転機でし
A K
読了時間: 5分


ミニマリスト
ミニマリズムという生き方の哲学 最小にして、最大の豊かさ 、 “ミニマリズム”という考え方は、私の人生観に大きな影響を与えた。それは単に「モノを減らす」という習慣ではなく、 思考の核を研ぎ澄ます哲学 であり、すべての選択に通じる価値観だと感じている。 私はいわゆるミニマリスト気味の生活をしている。とはいえ、報道で見るような、テーブルも布団もない「仙人のような暮らし」ではない。私は“貧乏ミニマリスト”ではなく、“金持ちミニマリスト”を目指している。つまり、削ぎ落とす中にも自分にとっての「質」を追求する生き方だ。 自宅には少ないながらもお気に入りのデザイナーズ家具がある。車はレンタルで十分だが、バイクは必要。1万円の服を30着持つより、30万円の服を1着選ぶ。私服も2ラックほどに整理し、心から愛せるものだけを残した。 モノより、経験に価値を 訪れた人に「生活感がなさすぎて、よく暮らせるね」と言われることがある。私はモノを売る仕事をしているが、だからこそ気づいた。 “楽しく生きる”のに、モノはそんなに必要ない。 旅の中で学んだのは、「モノより経験に価値
A K
読了時間: 5分


死ぬ時に通帳の桁を数える暇はない
『DIE WITH ZERO』という本を読んだ。良書だと感じたが、深い感動はなかった。なぜなら多くの部分で共感し、すでに自分の中に存在していた思考の再確認に過ぎなかったからだ。だが、それでもこの本は確かに、現代における「生きるとは何か」という問いに鋭く切り込んでいる。 要約すればこうだ。ほとんどの人は七十歳で資産のピークを迎える。しかし、それは本当に正しいのか?老後の安定よりも、いまこの瞬間にしかできない経験に時間とお金を使うほうが、より豊かな生ではないか。 経験の価値を信じる。 モノの価値は時間と共に下がるが、経験の価値は時間と共に思い出として上がっていく。経験から楽しみを引き出す力は落ちるので、使いもしないお金を稼ぐのはやめるべき。 ゼロで死ぬ。 死ぬときに余っているお金は無駄。死ぬときに持っているお金は過去の自分から奪った時間の代償である。養うために忙しく働くのはいいが、子供の幼少期に共に過ごす時間は二度とやってこない。 お金の価値を引き出せる力は加齢とともに衰えていく。 例えば30歳では元気にできるスポーツは沢山あるが、80歳ではできるス
A K
読了時間: 3分


成功の秘訣
与えることで満たされる ― 成功と豊かさの本質 成功とは、誰かに認められることではなく、自分の道を生きること。幸せとは、何かを得ることではなく、身の回りにあることに気づくこと。この一年、私はその意味を実感する機会を多く得ました。 寄付の意味 若いころの私はこう思っていました。「お金持ちだから寄付できるんだ。自分はまだ余裕がない。募金するくらいなら、もっと稼いで直接助けに行く方がいい。世の中は奪う側か奪われる側か。どうせなら奪う側に回るべきだ。寄付なんて偽善だ。」 ――そんなふうに、20代の私は必死に生きていました。しかし、ある言葉が私の心を静かに変えました。 “ロックフェラーは若いころから収入の1割を寄付していた。 彼は成功したから寄付したのではない。 寄付するような心を持っていたから成功したのだ。” この言葉に、理屈っぽい私も久しぶりに衝撃を受けました。確かに、私はそんな心を持っていただろうか。誰かの幸せを心から喜べていただろうか。 偶然にも、その少し前から私は募金を始めていました。特別な理由があったわけではなく、気まぐれでした。それでも、心
A K
読了時間: 3分


我が人生は根性論?
序章 ― 折り返し地点にて 人生の折り返しを過ぎた今、私はこれまでの半生を静かに振り返ってみたいと思う。 生きていると一度は出会う、“体育会系おじさん”という生き物がいる。「俺は体育会系だからさ」と言いながら、上下関係を当然のように押し付けてくる人たちだ。二十代の私は、心の中でいつもこうつぶやいていた。 「そんな体育競技でつちかったくらいの事をドヤ顔で話されても、少し長く生きただけの歳の差で上下関係を強要されても。俺は自衛隊出身だから自衛隊系しか知らないし、こっちは殺すか殺されるかの訓練をやってきたわけでいちいちうるせーな」若さゆえの尖りもあったが、当時の私にはそれだけの現場の実感があった。 第一章 ― 誕生の記憶 私は、生まれつき筋力が極端に弱かったらしい。赤ん坊の頃、ハイハイしても首を持ち上げることができず、母は泣きながら遠くの施設までリハビリに通ってくれたという。 やっと首が据わったと思ったら、今度は右目の弱視。「このままだと失明します」と医者に言われた。自分では、誰もがこんな視界なのだと思っていたから気づかなかった。 大学病院では、変形し
A K
読了時間: 6分


2020年、世界が少し小さくなった
静まり返る世界の片隅で 2020年3月、世界は一瞬にして姿を変えた。コロナウイルスが人々の営みを覆い尽くしたあの時、私は仕事でパリにいた。街の空気が少しずつ異様なものに変わっていくのを感じ、帰国して二週間後、世界は静まり返った。ロックダウンである。あれから一年が過ぎた。 削ぎ落とすことで見えるもの “Less is more.” ― 量から質へ。 余分なものを削ぎ落とせば、心に余白が生まれる。物質ではなく、精神や経験にこそ幸福は宿る。 ” 私はもともとミニマリズムに傾倒していたこともあり、世界が「小さくなった」と感じるよりもむしろ、自分の生き方を改めて見つめ直す機会を与えられたように思っている。不必要を最小化することで、本当に大切なことを最大化できる。それが、この時代の贈り物だった。 「世界には、清らかな水を飲めぬまま命を落とす人々がいる。 それなのに、自分や身近な者に死が迫ったときだけ騒ぎ立てるのは違う。自分はウイルスも、死も、受け入れる。」 そんな思いに突き動かされ、ウォーターエイドへの寄付を始めた。募金や奉仕は、他人のためにではなく、自分の
A K
読了時間: 4分


独立記念日
■由来 私の屋号「ファントムワークス」の由来のひとつには、私の基礎を形成した 航空自衛隊 の存在があります。超音速戦闘機の歴史の中で、5,000機以上も製造されたベストセラー「Phantom」「PhantomⅡ」という戦闘機の名前に由来しています。攻撃機という点と、“売れた歴史”を持つことが、セールスという生業にとって縁起が良いと感じたのがきっかけでした。 以前は「どちらにいらっしゃったんですか?」という質問をよく受けました。多くの方が過去の企業やブランドを基準に人を判断しがちですが、私は「航空自衛隊です。ペトリオットミサイル発射訓練でアメリカの砂漠にミサイルを撃ちに行ってました!」とよく答えていました。転職の多いアパレル業界だからか、同じ質問を何度もされるうちに少し飽きてしまったのを覚えています。 もういい歳ですし、 過去は過去。今できなければ何の意味もない。 そう思うようになりました。 ■ 独立前 サラリーマン時代の私は、少しばかり好奇心が強い、どこにでもいる普通のサラリーマンでした。独立前に勤めていた会社の社長面接は、今思えばとても面白いも
A K
読了時間: 5分
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